(創作シリーズ:BL。知らない人や分からない人はご注意。)
身が竦む。恐怖からじゃ、ない。どうして、こんなに鳥肌が立つのかもわからない。……わからない。
「……答えてくれる?」
斉藤は余裕の笑みを貼り付けたままだ。負けている、と思った。俺は、こいつに。
「妹は、居る。………それだけだ」
「そう」
それで全て判った、とでも言う様に、斉藤は満足そうな顔を見せて歩き出した。階段へと続く扉に向かって。俺に背を向けて。
「………あぁ」
何かを思い出したように、斉藤は振り返った。その目に射抜かれるような気がして、びくん、と肩が震えた。斉藤は、そのまま、笑ったまま、至極冷静な声で言った。
「陸を陥れようとしてるなら、俺が赦さないから。…それだけっ」
ぴぃん、と、張り詰めた…気がした。そいつはそのまま扉を開いて、扉の向こうへ消えた。俺はそれを充分に見送ってから、…ぺたん、とその場に座り込んだ。
しばらくは、その場に縫い付けられたように――動くことは、出来なかった。
俺は、一体何を望んでいるんだろう。零緒のフリまでして、こんな思いまでして。
何が、欲しいんだろう。
………あいつが? 嘘に塗り固められた、この体と心は。意味もわからず強く強く惹き付けられる。何なんだろう、この気分は。この、気持ちは。
沢山の感情が入り混じって流れて廻って滴ってぐちゃぐちゃにかき混ぜられて、そして。
優しい手が、俺を撫ぜてくれるのを。
知っているんだ、俺は。
〈第九番へ〉
***
一ヶ月くらいぶりですごめんなさい。思えば書き始めた当初と随分違う話になりました。空青を全部見直して、結局の結末は、今考えているとおりになると思います。
痛々しい青春がすきなんです。
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