(創作シリーズ:BL。苦手な人・解んない人は見ないようにー。)
「しっかし…入れ替わっても違和感無く女として学校に通えるって、どうよ」
この、ツラの可愛さもあるだろうが…。最初に断っておくけれど、カズイは男のくせに顔だけ見たらかなりの美少女だ。肩幅だって細い方だろうし、睫毛は長いし目は大きいし肌は白い。荒れてすら居ないそのきめ細かい肌は深窓の令嬢を思わせないことも無い。この中身を知らなければ、そう形容できないってことはないだろう。
カズイはどこから取り出したのかロリポップを舐めながら、うるせぇよ、などと返した。
「零緒と俺は一卵性の双子。零緒のが妹だけど…ずっと一緒に居たし、お互いの真似して遊んでたこともよくあったしな。言ってみりゃ十八番ってヤツ?」
遠くを見ながら、そんなことを言う。ふぅん、と頷いて見せた。
「でもそういうのって、…なんか、寂しくないか? 僕は双子じゃないからお前の気持ちなんてわかんないけどさ」
「…わかんないなら口出しすんな」
「協力するのはこっちだぞー?」
「…………。」
ちょっとふざけてみたりもする。隣に座っているカズイの表情を盗み見てみると、ロリポップを咥えたまま思いっきり目を逸らして俯いていた。くるくると表情が変わる。解り易いヤツだ。
「…正体知られたからには協力してほしいと思ってる。悪いな」
正体って…。発言がいちいち子供染みてて、何だかそれが微笑ましかった。それに、僕の答えはさっきも言ったはずだ。
俯いたままのカズイの頭の手をやる。まさか、ついさっき初めて言葉を交わしたような相手と、ここまで打ち解けるとも思っていなかったけれど。
「わかってる。やるからには全力で協力してやるから」
カズイは、こくりと頷いた。
こうして、僕と『彼女』との一週間は始まったのだった。
〈第四番へ〉
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(創作シリーズ:BL。苦手な人・解んない人は見ないようにー。)
どうでも良いが、レオが男であることを僕が知ったのは、なんてことない、その着替えの真っ最中を目撃してしまっただけだ。入学したばかりの高校では同じクラス、勿論女子生徒として登校している高木零緒を男だなどと疑ったことすらない。その高木零緒が、公園の男子トイレに入っていくところを見かけたら、気にならないわけがない。そして僕がレオを追って男子トイレに入ると、そこには――…。
「大体、何で榊第二高校の学ランなんかに着替えて…」
そう。レオは今、男子校である榊第二高校の制服を着ている。ヅラを取って学ランを着れば、まぁ…男子生徒に見えないことも無い。
「俺は元々榊第二の生徒だ!」
「……は?」
「三日前までは確かにそっちに通ってた。俺は榊第二を受験して榊第二に入学した。共学の金城東を受験して金城東に入学したのは俺じゃない。俺は零緒じゃない。高木
そこまでを一息に言うと、…えぇと、非常にややこしいのだが、本人が言うところの『一依』は俯いた。
そして、僕が呆気に取られて何も言えずにいる間に、続ける。
「四日前までは確かに女の零緒本人が金城東に通ってた。俺だって榊第二に通ってたさ。今俺が女装して金城東に通ってるのは、零緒が狙われてたからだ」
「………狙われてた?」
その一言に無意識に反応する。その僕をちらりと見て、…えぇと、カズイは言いにくそうに言った。
「…零緒は一度強姦魔に遭ったことがある。それからは俺達も十分に注意してたんだが――…また、何か良からぬ輩が零緒を付け狙ってるからな。俺は零緒のフリをしてそいつが諦めるまで金城東に通うことにしたんだ。どうやって諦めさせようかと思ってたが――…まぁ、お前みたいなのが居れば大丈夫だろ。お前くらい顔が良けりゃそいつも諦めるだろうしな」
はぁ。そらどうも。いまいち事態が飲み込めないのだが、つまりはそいつを撃退するために、こいつは女装してまで金城東に通ってるってことだ。
「…わかった。協力するよ」
まぁ、最初から協力しないつもりはなかったけど。僕はどうも、こういう話に弱い。僕が少し協力するだけでその子が救われるのなら、それで良いと思う。
「…サンキュ」
僕の言葉に、カズイはニカッと笑いかけた。…不覚にも、その笑顔にくらりときたことは言うまでも無い。
〈第三番へ〉
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(創作シリーズ:BL。苦手な人・解んない人は見ないようにー。)
彼女…否、『彼』は妙に神妙な面持ちで言ってのけた。
「付き合うっても…そうだな、一週間でいい。一週間だけ、フリをしてくれればいい」
「……フリ?」
「そっ。一週間やりゃ十分だろ。お前弱そうだけど…ま、なんとかなるか。丁度いいしな」
「いやあの、さっぱり状況が飲み込めないのですが…。」
そうなのだ。彼女…、否、彼、高木
さらさらの茶色い長い髪、大きな瞳、白い肌、綺麗な顔立ち。少女と言ってもいいくらい華奢な体。信じられないと言うか、信じたくない。あぁ、この姿を知らなかった頃の純粋な自分が恨めしい。
「なんだよ、じゃぁまた脱ぐか? なんなら下も…」
「いえ、結構です」
見たくない。この可愛い顔が男だなんて。
「…で、どうしてこんなことしなきゃならないんだ? 女装趣味?」
「なっ、バカ! ちがうっての!」
ぱこん、と乾いた音がしたと思ったら、頭を殴られていたらしい。結構痛い。
レオは若干苛立ったような表情を隠しもせず、続けた。
「ちょっと…事情があるんだよ。お前には関係ない」
そして、ふいと目を逸らした。…むぅ。これはちょっと腹立つぞ。
「関係ないなら巻き込むな。その事情とやらを話してくれないなら、協力なんてしない」
「なっ…」
僕は立ち上がり、歩き出した。これは割りと本気だ。まだ意味の解らないまま何かに巻き込まれるのは、いくらなんでも拒否せざるを得ない。僕のその態度で慌てたように、レオは上ずった声で言いながら追いかけてきた。
「わかった! わかったよ! 話すから、悪かった」
「本当だな?」
「本当だって!」
そして再び腕を引かれ、手近なベンチに座らされた。そして、当然のようにちょこんと隣にレオが座る。公園内は夕方だからか子供達の声が遠くに聞こえたが、少なくともこの辺りには人気が無いように感じられた。
やがて、レオがウィッグ――どうやら、茶色の長い髪はウィッグだったらしい。女装だと考えれば、それも当然か――を取り外し、それを横に置いた。ウィッグを取ると、レオは茶髪のショートと言ったところか。これでも、女だといわれれば女に見えなくも無い。
そして、レオはぽつりぽつりと話し始めた。
〈第二番へ〉
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触れてはいけないものに、触れてしまいました。
ガラスに映る空の青
彼女の瞳に溜まる涙を、拭うことすらできなかった。僕は、知ってはいけない秘密を知ってしまったのだ。
思えば、どこから狂っていたのだろう。誰しも、人に知られたくない秘密を抱えている。それがどんな形であれ、知られるということは望ましいことではない。だから隠すのだ、人は。
それが自分にとって醜いことであるのを自覚しているのだから。
僕はまず、それを見て――正直に言って、狂っている、と思った。彼女とは深い関係と言うわけでもなかった。それなのに、僕は知ってしまった。こんなこと、許されるわけが無い。
あのとき、僕の顔を見て、彼女はキッと目を吊り上げると、ただこう宣言した。
――あんた、あたしと付き合いなさい!
…はっきり言って、そのときの僕の表情はさぞかしぽかんとしていたのだろう。どこをどう捉えたらそういう結論に至るのか、僕にはさっぱり理解出来ないで居た。しかし、そう言い放った彼女の表情が、彼女の瞳が、意志の強さを表していて――その強い瞳に、不謹慎ながらも僕は一発で恋に落ちてしまったのだ。
〈第一番へ〉
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